Japan Business Initiative for Biodiversity
JBIBは生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まりです。
取り組みヒント集
Q1、Q2の順序で選択すると、それに関する「取り組みのヒント」が表示されます。
Q1.まずは、テーマ分類からお選びください。
取り組みのヒントは次の通りです。
1.自社の理念・方針などと照らし合わせてみましょう。
・企業理念、創業時の精神を読み解き、生物多様性との接点を見出す。
・自社事業の社会的ポジションやCSR方針・環境方針を再確認し、生物多様性との接点を見出す。
・業界・地域に関係のある「法規制」「ガイドライン」等の情報を収集し、接点や対応すべき事柄を整理する。
2.なかなか接点が見出せないときには、視点を変えてみましょう。
・自社だけではなく、サプライチェーン全体で生物多様性との接点を見出す。
・「現状」だけではなく「未来」の視点から、事業を継続していくための「リスクの棚卸し」を行う。
・自社と生物多様性との依存や影響の関係を考えるのではなく、「自社事業が生物多様性の課題解決にどのように貢献できるか」を考え、接点を見出す。
3.様々なステークホルダーと議論することで、新たな接点が見つかることもあります。
・従業員に、事業と生物多様性の関わりについて「問いかけ」を行い、意見の収集・整理を行う。
・社内の環境関連部署と生物多様性に関わりがある特定の部署でディスカッションを行い、事業の生物多様性への依存と影響について情報の整理を行う。
・ステークホルダーと対話の場を持ち、事業と生物多様性との接点(依存と影響)に関する情報を収集する。
4.接点を見出すために、ツールを活用することも有効です。
※ 企業の特性に応じて、以下のどれが最適か見極めましょう。
1.生物多様性を含めた全体の環境施策を括る上位目的を明確にする考え方もあります。
・サステナビリティを実現するためのテーマの一つが「生物多様性」であると位置づける。
・環境負荷を削減していくためのテーマの一つが「生物多様性」であると位置づける。
2.生物多様性を中心に据える考え方もあります。
・「生物多様性の保全」が環境の取り組みの中心(目的)、他の施策は手段との整理を行う。
・生物多様性は、複数の重点課題の1つであるが、すべてに関係のある別格的課題(根本的課題)であると位置づける。
3.温暖化防止など他の環境施策と並列に扱う考え方もあります。
・「気候変動対策」と「生物多様性保全」を環境の取り組みの2本柱として整理する。
・生物多様性は、複数の並列する重点課題の1つとして位置づける。
4.これまでの環境施策が生物多様性にどう影響するかで整理する考え方もあります。
・温暖化対策を行うことで、生物多様性の保全に寄与していると整理を行う。
・これまでの環境施策と生物多様性との関連性を明らかにすることにより、更に何に取り組むべきかを見出す。
1.なぜ自社にとってそれが必要なのかを明確に説明します。
・生物多様性への取組みは、「自社の存続」のために不可欠なものであること、取り組むことは自社の重要な「存在意義」であることの理解を求める。
・この取組みが、社会の持続可能性にとって必須であることについて理解を得る。
2.自社の本業との結びつきを明確にし、チャンスであることを示します。
・生物多様性はこれまで取り組んできた環境施策と無関係なものではなく、むしろ取り組みの質を高めるものであることへの理解を得る。
・生物多様性への取り組みがリスク対応だけではなく、ビジネスチャンスにもつながることを好事例などを提示して示す。
3.同業他社などの具体的な事例を示し、納得度を高めます。
・顧客などからの要望や関心の高まりを実例をもって示す。(危機意識をもってもらう)
・同業他社あるいは先駆的企業の事例等について説明する。
1.社内関連部門やサプライチェーンに対してアンケートやヒアリングを実施してみましょう。
・生物多様性に対する負荷の状況や取り組み状況を把握するための「チェックシート」を作成し、自社の各事業部やサプライチェーンに回答してもらうことで、全体の状況を把握する。
・情報収集を行うためのヒアリング(対話)、ワークショップ、アンケートを実施する。
・過去のCSR・環境レポートをもとにどのような取り組みが行われてきたのか把握する。
2.ツールを活用して、多角的な視点から検証しましょう。
・JBIB「関係性マップ®」を活用して影響の全体像を把握する。
・「ESR」手法を活用し生態系サービスへの依存と影響を把握する。
・「INPUT-OUTPUT分析」を活用してリスクを把握する。
3.第三者や外部の力を借りることも有効です。
・自社(自社グループ)の研究部門・専門機関と連携し、現状の把握と分析・評価を行う。
・業界団体として検討する「ワーキンググループ」に参画・発足する。
・外部有識者の力を借り、第三者的な視点からの課題確認、現状の分析を行う。
4.その他のアクション・・・
・特に重要視している取り組み・生態系については、現場まで足を運び、直接自分の目で状況確認を行う。
・敷地緑地を含む周辺緑地の把握も重要な要素。植生調査・生態調査を実施する。
・生物多様性だけを取り出して現状評価を行うのではなく、温暖化防止、資源循環、有害物質管理など様々な要素を全体として把握する。
1.生物多様性への影響度を基準に取り組みましょう。
・生物多様性への「影響度」が高いもの、「取扱量」が多いものを優先する。
・生物多様性への「影響度」とともに「緊急性」も加味して、優先順位をつける。
2.自社の方針と照らし合わせることも重要です。
・中長期の「あるべき姿と比較してギャップが大きい領域」の優先度を高くする。
・既に全社的に取り組んでいることを一層推進するような事項を優先する。
・長期的戦略を重視しつつ、法令遵守、リスク管理、利益的貢献等から優先度を決める。
・従来の環境対策ではカバーできていない取り組みを優先する。
・難易度の低いものから取り組む。
・有識者からのアドバイスを参考に優先度を決める。
1.本業における生物多様性に対する依存・影響の度合いを踏まえて目標を設定しましょう。
・自社にとって「戦略的に重要な生物資源は何か」を特定し、その生物資源を対象とした保全活動の目標設定と計画を策定する。
・本業を通じた生物多様性への貢献、または負荷軽減の目標を設定する。
・「原材料調達」に関する目標設定を行う。
2.自社の現状を踏まえたこんなアプローチもあります。
・温暖化対策や資源循環において設定した目標を、生物多様性の目標としても認識する。
・定量的な目標設定にこだわりすぎないで、まずは定性的な目標設定も含めできることから目標を定めて取り組む。
・できることから始め、最初から完璧な数値化は目指さない。
・業界団体が策定した「ガイドライン」や「事例集」を目標設定の参考にする。
1.本業における生物多様性に対する依存・影響の度合いを踏まえて目標を設定しましょう。
・事業部門中心ではなく、関連事業部門によって構成された「社内横断的なプロジェクトチーム」を発足させ、側面支援的に推進する。
・事業部門と該当する関連部門が主体となり、調整や目標設定の作業を推進していくように働きかける。サプライヤーなどと交渉や調整も担当部署を中心に推進していく。
・本社や管理部門が決めることと、各事業部が決めることを分けて考え、各事業部がそれぞれの判断で決めていける余地を残しておく。
2.既存の仕組みを活用したり、経営トップの力を借りるのも有効です。
・企業のガバナンスを活用し、情報の周知や啓発、取り組みの推進が図られるよう働きかける。
3.関連部門・部署とのコミュニケーションを図りましょう。
1.目標に向かってPDCAを確実に回すことが重要です。
・環境マネジメントシステムを活用して推進する中で、具体的目標を設定し、目標を達成するための実施計画を策定し実行する。(PDCAサイクルの「P」「D」を進める)
・明確な方針や目標の設定、取り組みのガイドラインの提示、取り組み状況の定期的な評価などを仕組み化している。
2.PDCAを回すため、社内の仕組みや体制を整えましょう。
・生物多様性への取り組みと本業との結びつきを明確にする。
・取り組みのモデルケースを作り、活動状況を定期的に情報発信して啓発を行う。
・関連部署に取り組み推進のための責任者(担当者・窓口)を決める。
3.取り組み意欲を高めるために、事業所やサプライヤーを競争させることも効果的です。
・事業部やサプライヤーごとに、取り組みの「格付け(ランクづけ)」やコンテストを行い、取り組みの活性化や動機付けをする。
・サプライヤーの取り組み状況に応じた「取引業者選別」を行う。環境に配慮した業者(製品)とだけ取引をしていくというスタンスを示し、サプライヤーの取り組みを促す。
1.勉強会や講演会を企画してみましょう。
・従業員や役員を対象とした研修や勉強会、講演会を開催する。
・各事業所を訪問して取り組みへの理解を得るとともに、研修・勉強会を開催する。
・新入社員教育のカリキュラムに組み込む。
2.フィールドでの環境教育やイベントを実施してみましょう。
・従業員をボランティア活動に派遣することで、自分ごと化を促す。
・フィールドでの体験型の自然環境教育を実施する。
・生物多様性をテーマとするイベントに参加・出展、その取り組みを社内報などで紹介することで啓発につなげる。
・事業所ごとの取り組みをコンテスト的に社内に紹介する。
・子供たちへの環境教育に従業員を派遣することで意識啓発を行う。
3.各種ツールを活用してみましょう。
・既存の環境啓発ツールの中に生物多様性に関する要素も盛り込む。
・eラーニングを活用し、知識共有を行う。
・社内報を活用する。
・生物多様性に関するハンドブックや出版物を制作し、社内外で活用する。
・生物多様性に関連した情報を、データベースやWEBなどで一元管理する。
(情報を一箇所に蓄積しておき、いつでも情報にアクセスできるようにしておく)
4.従業員が理解しやすいように、内容を整理しましょう。
・従業員に生物多様性のことを理解してもらうため、既存の環境施策と生物多様性とが、どのような関わりをもっているのか、体系的に整理して伝えていく。
・自社の生物多様性に対する取り組み方針をまとめ、従業員に対して周知を行う。
・生物多様性に関する社員アンケートを実施する。
社員の生物多様性に関する理解度、関心度を収集できるとともに啓発にも効果がある。
5.本業との関わりの中で取り組むことで、理解しやすくなります。
・生物多様性関連の提案を企画する。
お客様に提案できるようになるためには、自ら情報収集を行うようになっていく。
・各現場でOJTを通して実践的な取り組みを推進していく。
・トップダウンを有効に活用する。
1.目標に対する進捗確認・評価を定期的に行いましょう。
・環境マネジメントシステムを活用して、具体的な目標に基づいて評価する。
・定期的に進捗を報告する仕組みをつくる。
2.ステークホルダーの客観的な視点で評価してもらいましょう。
・CSRレポートなどで自己評価を公表するとともに、第三者から評価してもらう。
3.取り組みの評価結果を社内外に公開し、次のアクションにつなげましょう。
・環境マネジメントシステムを活用して、目標の見直し、施策の立案等を行う。
・経営層に報告をして、トップダウンで取り組みの見直しを指示する。
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