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2.社会的・国際的な動向
【国際動向】

2012年 6月 :リオ+20で「自然資本宣言(Natural Capital Declaration)」発表
2013年12月 :国際統合報告評議会(IIRC)が国際統合報告フレームワークを公表
2015年 9月 :国連がSDGs(Sustainable Development Goals)を採択。
2016年 7月 :自然資本連合(Natural Capital Coalition)が「自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)※」を発行

 

自然資本評価の国際的な枠組み 自然資本プロトコルとは
 
自然資本連合が作成した自然資本分野における国際基準
 
本プロトコルは、企業の経営判断や投資家の投資判断のため、事業活動が関連する自然資本に対する影響や依存度を測定し、価値を評価、そして経営に統合するための手順を示したガイダンスです。

 
◆ 自然資本プロトコルの枠組み
本プロトコルは下記4つのステージと9のステップで構成されています。各ステップでは、自然資本の評価・管理を行う上で確認すべき「問い」が示されており、各ステップを完了させていくことで、それらの問いに答えることができるようになっています。
 
nc-method-011
 
 
自然資本に関して金融業界が企業に求めること
 
①世界銀行
世界銀行は、2012年に「50:50キャンペーン」を立ち上げ、50カ国が自然資本の価値を国家会計に、50の企業が企業会計に盛り込むことを目指しています。本キャンペーンは、コスト分析の観点で生態系サービスの価値を考察した総合的なアプローチです。世界銀行は、自然資本がもたらす経済効果と財政効果の影響評価の導入を、公的セクターと民間セクターに対して働きかけています。国家レベルでは、世界銀行は「生態系サービスの経済的価値評価(WAVES)」と呼ばれる各国政府とのパートナーシップを通じて、自然資本会計を政策決定に採用するように推進しています。また、国際金融公社(IFC)と共に、WAVESはパートナーの国々での自然資本プロトコルの試験導入を進めており、特に森林、水域、陸上、土壌を含めた生態系サービスの評価を行うことが重要だとしています。
 
世界銀行は、世界各国が持続可能な成長に向けての取り組みを進めていることを受けて、民間セクターに対しても、天然資源の利用におけるより長期的な展望を持つよう提唱しています。事業者が自然資本を意思決定に盛り込み、将来の不確実性や財務損失に伴うリスクを減らすことで、成長の促進につながるとしています。他の資本形態と同じように、自然資本が生産と繁栄に対して全面的に貢献をしていくためには、投資とメンテナンス、適切な管理が必要です。
 
世界銀行は、各企業から自然資本評価や環境への影響に関する定量データの開示を求めてはおらず、GDPと企業業績を補完する形で、科学的な手法に基づき自然資本会計を実施していくことが望ましいとしており、開発や投資について圧倒的な立場である企業に対しても「目線や考え方を持つこと」を希望しています
 
 
②三井住友信託銀行
三井住友信託銀行は、ESG投資におけるE(環境)を地球生命維持装置とし、自然資本を賢く活用し続けることは、環境保全だけでなく社会の基盤を固め、経済の発展を持続可能なものにすると考えています。
特に、資源輸入国である日本の企業では、グローバルなサプライチェーンにおける自然資本への依存度や環境負荷の大きさを企業経営上の隠れたリスク要因になるとみており、サプライチェーンにわたる水、物資の使用量、二酸化炭素の排出量などを適切に把握し、特に、サプライチェーン上流における自然資本へのインパクトをマネジメントすることが、持続可能な企業経営の重要な要素であると考えています。つまり、投融資対象の企業における自然資本への依存による調達や操業リスクは企業の事業継続に直結しており、「自然資本リスクのうち何が、どこに(地域性)、どれだけ(量)」あるのかを適切に把握、管理することを求めています。